2022年も残り3日となりました。2年間続いたコロナ禍で大分不便な事も多かったですが、その分、生活スタイルや働き方に対する価値観などの変化も大きかった気がしています。究極のポジティブシンカーなので 笑、何事も前向きに捉えます。
この「起業家コラム」というページは、自分が起業家として生きることを決めた後から、半分は自分の為の記録に、残りの半分は仲間達や後輩達にリアリティを持って経験談を伝える目的で書いています。頻度が半年に一度くらいになってしまうのはご愛嬌ですが。。
弊社は、①事業コンサルティング、②事業家人材育成、③新事業・ソーシャルビジネス開発、の3本柱で事業に取り組んでいます。①に関しては、サラリーマン時代のネットワークもあり、沢山のお客様達とお付き合いさせて頂いています。お陰様でとても順調に推移しています。また、②に関しては、今年から始めた亜細亜大学アジア・国際経営戦略研究科での非常勤講師の仕事を始め、他大学や展示会でのセミナー、鎌倉市内での地域貢献活動での講演なども増えて来ました。少しアカデミックな領域に進出できた年でした。
今年締めくくりのブログテーマに選んだのは、③新事業開発の一つ、「はじまりの村」のアプリ開発です。結論から言うと、アプリ開発としては開発を断念し撤退する事を決めました。4年間での累積投資額は数百万円に達していたので、、うしろ髪引かれる思いもありましたが、社内及び税理士の先生とも相談の上、撤退の判断に至りました。
そもそもの構想は、海外駐在員時代の「ひとりぼっち感覚」が原点です。駐在員って権限は大きいしやりがいもあるのですが、結構孤独です。僕の場合、他の会社の駐在員や海外で働く起業家(本当にチャレンジャーです!)ともチャンスを見つけては情報交流をしていました。彼らと付き合う中で、沢山の学びと励ましをもらいましたし、いつの頃からか「こういうセレンディピティをもっと意図的に広められないか?」とテーマ化するに至りました。
このアイデア自体は多くの仲間から支持され、もし正式にリリースされるのであれば参加したいと言ってくれる人も多くいました。感覚的には声をかけた人の3割ぐらいかな。オンライン・サロンとしては十分な広がりと受容性が取れそうな感じでした。それを踏まえて、ベトナムでのβ版アプリ開発に着手しました。正式に契約を交わし、開発費を海外送金し、定例会議で進捗を確認。コロナ前ですが、ホーチミンの開発現場にも伺って、アプリの動作テストなども実施しました。
昭和レトロのRPGのような半リアル・半バーチャルな空間。アバターが自由に動き回り、村内にいる様々なバックグラウンドの人々と繋がっていく。公民館(動画館)に行けば、マーケティングや起業に関するセミナー動画を携帯から自由に観ることができる。僕自身もコンセプトが具現化されていくプロセスを見るのはとてもワクワクしました。
一方で、SEさんへの指示の出し方の勝手が分からない、細かい判断(例えば、ボタンの配置やアバターの動き方)が全体スケジュールに影響してしまう、プロジェクトが止まる・延期されていくと開発コストだけがどんどん積み上がってしまう等、アプリ開発の専門性と難易度を思い知らされました。細かい問題はもっと沢山ありますが、結局、22年9月末で使用していたクラウドサーバーのサービス中止(他サービスへの移管)が引き金となり、これ以上の追加投資はサンクコスト増大にしかならないと判断しました。
12月になって、ようやく頭も冷えたので 笑、冷静に失敗の本質をレビューしてみました。やりたい事の為に猪突猛進に突っ走る情熱家の自分(赤レンジャー)を、論理的で冷静な思考ができるコンサルタントの自分(青レンジャー)が分析・評価する。普段仕事でも使っている事業成功の為の15原則(5軸×3要素)のテンプレートを使って、一つ一つ確認してみました。「いっこく堂」さんではないですが、一人二役での事業レビューです。
失敗の本質の最たる部分は、下記3点に尽きるかなと。
1)自分自身の強みや経験が全く活きない領域で、
2)今までにない新しい事業創造(アプリを中心としたネットワーク開発)を、
3)なんとなく「俺ならできるのでは?」という思い込みで、
事業性や実現性の検証もほどほどに実務に進んでしまった。
SEでもなく、その分野の知見もない自分。ただ幼い頃にゲームが大好きでRPGにハマっていた(消費者としてサービスを実感していた)だけの自分。本来ならアプリ開発のコアになるべき部分に拠り所がありません。同じ新事業でも自分の過去の経験やスキルが活かせて、解像度高く事業化に取り組める「葉山コーディアル」とは構造が異なります。
不思議なもので、自分自身が全力でプレーしている時ほど周りが見えなくなってしまう事があります。あとで振り返れば「なぜあんな事を。。」と気付けるのに。思い返せば30代の頃・サラリーマン時代に、月次開発会議で取り組みテーマをバッサリ打ち切られた事がありました。あれは当時の上司のHさんからすれば、「我慢して見守っていたけど、どうにも筋が悪い。もう言わないと後戻りできなくなる。」という絶妙なタイミングでのタオル投入だったんだなあ。今はそんな上司もおらず、自分で判断するしかありません。
2022年末、今年最大の出来事は苦手分野からの撤退(=得意分野への集中)だったにも関わらず、また来年はどんな新しい事を企てようかとワクワクしている自分がいます。ご家老からは「死なない程度の失敗は肥やしになる」と励ましてもらいましたので 笑、このプロジェクトで感じた、無限に広がる想像・創造の世界で生きる喜びを味わいつつ、来年4月に迎える第6期の準備をしたいと思います。
それではみなさま、今年一年本当にお世話になりました。来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます!
Be free, be creative!